動画広告市場、ついに1兆円突破!!「いいね」はもう見られていない
2026/07/24
2026年Instagramの新指標が教える、中小企業が今すぐ変えるべき動画戦略【最新データ付き】
はじめに:市場は1兆円を超えたのに、なぜ「いいね」は増えないのか
2026年、日本の動画広告市場がついに1兆円の大台を突破しました。サイバーエージェントとデジタルインファクトが共同で実施した調査によれば、2026年の国内動画広告市場は1兆437億円に達し、前年比18%増という高い成長率を記録しています。市場を牽引しているのは、TikTok・Instagramリール・YouTube Shortsに代表される縦型動画広告であり、その成長スピードはディスプレイ広告やテキスト広告を大きく上回っています。
「動画に力を入れなければ」——多くの経営者が漠然とそう感じながらも、実際に投稿を始めてみると、こんな違和感に突き当たります。「動画を出しても、いいねの数が思ったより伸びない」「フォロワーは増えているのに、問い合わせにつながらない」。
実はこれ、皆さんの動画のクオリティが低いからではありません。プラットフォーム側の「評価基準」そのものが、静かに、しかし決定的に変わってしまったからです。2026年のInstagramでは、投稿の表示優先度を決めるアルゴリズムにおいて、DM(ダイレクトメッセージ)でのシェアが、いいねやコメントのおよそ5倍の重みで評価されるようになりました。2026年3月のアップデート以降は、単純な「いいね」の数ではなく、「保存」「シェア」、そして「会話の深さ」——つまりコメント欄やDMでどれだけ密度の濃いやり取りが生まれたか——が、投稿の価値を決める最重要指標になっているのです。
つまり今、企業が動画コンテンツに求めるべきゴールは「バズって、いいねをたくさんもらうこと」から、「見た人が誰かに送りたくなる、保存して後で見返したくなる中身をつくること」へと、根本から書き換わっています。本記事では、この2つの大きな変化——動画広告市場の1兆円突破と、Instagramの評価指標シフト——を手がかりに、中小企業の経営者・意思決定者が今すぐ着手すべき動画戦略を、具体的なステップとともに解説します。
第1章:1兆円市場の中身を正しく読む——「量」ではなく「設計」の勝負になった
動画広告市場が1兆円を超えたというニュースを聞くと、「大企業がさらに予算を投下する話だろう」と受け止めてしまいがちです。しかし、この数字の中身をよく見ると、実態はまったく逆であることがわかります。
市場成長を牽引しているのは、テレビCMのような大型予算を必要とする従来型の動画広告ではなく、スマートフォン1台で撮影・編集できる縦型のショート動画広告です。制作単価が下がり、配信の最小ロットも小さくなったことで、これまで動画広告に手を出せなかった中小・中堅企業が、続々と市場に参入してきているのです。言い換えれば、1兆円市場の主役は、もはや大企業だけではありません。予算規模の小さな会社であっても、正しい設計で動画を作れば、大企業と同じ土俵で戦えるようになったということです。
ここで重要になるのが「量」ではなく「設計」という視点です。従来の動画広告は、露出回数(インプレッション)を稼ぐことが目的化しがちでした。しかし、視聴者の可処分時間が有限である以上、ただ動画の本数を増やすだけでは、埋没するコンテンツが増えるだけに終わります。実際、2026年の視聴傾向を分析したデータでは、視聴完了率(コンプリーション・レート)が動画の拡散力を左右する最も強いシグナルとされており、バズるためには視聴完了率がおよそ70%に達している必要があるとされています。これは2024年頃の目安であった50%前後から、大きく引き上げられた水準です。
つまり、1本あたりの制作コストを抑えて数を打つ戦略よりも、1本あたりの完成度を高め、最後まで見てもらう設計に投資する戦略のほうが、今の市場では報われやすくなっているのです。中小企業にとってこれは朗報です。大企業のような広告予算がなくても、「最後まで見たくなる構成」さえ設計できれば、限られた本数の動画で十分な成果を出せる時代になったからです。
第2章:Instagramの新常識——「いいね」から「保存・シェア・DM」への転換が意味すること
先述の通り、2026年のInstagramでは、DMシェアがいいねの約5倍の重みで評価されるようになりました。これは単なるアルゴリズムの微調整ではなく、プラットフォームが目指す方向性そのものの転換だと理解する必要があります。
なぜプラットフォームは「いいね」を軽視し始めたのでしょうか。理由はシンプルです。「いいね」は指先ひとつで押せてしまう、最も軽いリアクションであり、そのユーザーが本当にそのコンテンツに価値を感じたかどうかを正確に反映しません。一方で、「保存」は「後でもう一度見たい」という明確な意思表示であり、「シェア」、特に「DMで友人や同僚に送る」という行動は、「これはあなたに関係がある、価値がある」という、その人個人への強い推薦を意味します。プラットフォームにとって、こうした行動データのほうが、ユーザー同士の信頼関係やコンテンツの真の価値を測るうえで、はるかに精度の高いシグナルなのです。
これは企業の動画戦略にとって、無視できないインパクトを持ちます。これまで多くの企業が「とにかく目を引く、インパクト重視のオープニング」や「拡散されやすい派手な演出」に力を入れてきました。しかし、これらは「いいね」は稼げても、「保存したくなる」「誰かに送りたくなる」動画とはイコールではありません。保存やシェアを生むのは、むしろ次のような性質を持つコンテンツです。
第一に、「実用性」です。ノウハウや手順、チェックリストのように、後で見返す価値がある情報は保存されやすい傾向にあります。第二に、「共感」です。自社の従業員や経営者自身の言葉で語られる、リアルな苦労や工夫のストーリーは、「これ、うちの会社にも当てはまるかも」と感じた視聴者が、同僚や取引先にシェアしたくなる動機を生みます。第三に、「信頼できる専門性」です。業界特有の悩みに対して、具体的で的確な答えを示すコンテンツは、「この会社に相談してみよう」という次のアクションにつながりやすく、DMでの問い合わせという形で直接的な成果に結びつきます。
つまり2026年の動画戦略においては、「何人に見られたか」よりも、「何人が保存し、何人が誰かに送ったか」を成果指標として捉え直す必要があります。企業のSNS運用担当者は、インプレッション数やいいね数を追いかけるのではなく、保存率・シェア率・DM経由の問い合わせ数といった、より本質的な指標をKPIに据え替えるべき時期に来ているのです。
第3章:中小企業が今すぐ実践すべき、動画設計の5つのポイント
では、具体的にどのような動画を作れば、この新しい評価基準の中で成果を出せるのでしょうか。ここでは、動画制作の専任担当者がいない中小企業でも実行可能な、5つの実践ポイントを紹介します。
1つ目は、「保存したくなる情報密度」を意識することです。1本の動画に、視聴者が後で見返したくなる具体的なノウハウ・数字・手順を最低ひとつは盛り込みましょう。抽象的な「弊社の強み」の紹介よりも、「業界初心者でもわかる3つのチェックポイント」のような、実用的なフォーマットのほうが、保存されやすくなります。
2つ目は、「送りたくなる理由」を明確に作ることです。動画の最後に「これ、〇〇さんに教えてあげたい」と思わせるフックを意図的に設計します。例えば、経営者や現場担当者の等身大の言葉で語られる失敗談や工夫は、同じ業界・同じ立場の人に「刺さる」コンテンツになり、DMでの共有を後押しします。
3つ目は、視聴完了率を意識した尺と構成です。冒頭3秒で視聴者の心をつかみ、結論やオチを動画の終盤まで引っ張りすぎない構成にすることで、最後まで見てもらえる確率が高まります。長い動画であれば、章立てを明確にし、視聴者が「あとどれくらいで自分の知りたい情報にたどり着けるか」を予測できるようにする工夫も有効です。
4つ目は、短尺と長尺を役割分担させる「バーベル戦略」です。ショート動画は新規の視聴者との出会い(認知)に使い、そこで興味を持った視聴者を、自社サイトやYouTubeチャンネルに置いた、より深い長尺コンテンツへと誘導します。認知はショート動画で広く獲得し、信頼構築は長尺動画とオウンドメディアで行う、という役割分担が、2026年の標準的な設計思想になりつつあります。
5つ目は、AIと人の手を掛け合わせるハイブリッド運用です。台本の下書きや編集の一次作業にAIツールを活用してスピードを上げつつ、最終的な「人間らしさ」——経営者の表情、現場の空気感、実際の顧客の声——は必ず人の手で仕上げることが重要です。AI生成コンテンツへの視聴者の警戒感が強まっている今だからこそ、この「最後のひと磨き」が、保存・シェアされる動画とそうでない動画を分ける決定的な違いになります。
■ 第4章:動画を「単発の施策」で終わらせないために
ここまで紹介してきた5つのポイントは、いずれも1本の動画を作るだけでは効果を発揮しません。保存やシェアという行動は、視聴者との間に積み重なった信頼の結果として生まれるものであり、単発の動画で急に生まれるものではないからです。
だからこそ重要なのが、動画を一過性のキャンペーンではなく、継続的な「動画オウンドメディア」として運用する視点です。認知フェーズのショート動画、検討フェーズの事例紹介・顧客インタビュー動画、契約後のオンボーディング動画、そして既存顧客向けのリテンションコンテンツまで、顧客の購買プロセス全体を通じて動画を設計し、継続的に発信し続けることで、初めて「保存」「シェア」「DM」という質の高いエンゲージメントが積み上がっていきます。
1兆円市場という追い風が吹き、評価基準も「量」から「質」へと移り変わった今は、中小企業にとってまたとない好機です。大企業のような広告予算がなくても、視聴者に本当に価値のある動画を、継続的な設計のもとで届けられる企業こそが、この新しいルールのもとで選ばれていくはずです。
おわりに:評価基準が変わった今こそ、動画戦略を見直すタイミング
動画広告市場が1兆円を突破した一方で、「いいね」の価値は静かに下がり続けています。この2つの変化は、一見すると矛盾しているようで、実は同じ未来を指し示しています。それは、「なんとなく動画を出す」だけの時代が終わり、「誰に、何を保存させ、誰に送ってもらうか」を設計する企業だけが、動画マーケティングの果実を得られる時代が始まったということです。 もし、自社の動画が「いいねは増えるのに問い合わせにつながらない」「何を発信すればいいか、社内で答えが出ない」といった状況にあるなら、それは動画の量やクオリティの問題ではなく、設計そのものを見直すタイミングが来ているサインかもしれません。保存され、シェアされ、DMで語られる動画を、貴社のビジネスに合わせて一緒に設計してみませんか。まずは自社の現状や課題について、お気軽にご相談ください。

