企業動画の絵コンテはどこまで書く?撮影前にそろえる6項目
2026/10/07
結論:企業動画の絵コンテは、「場面の目的」「画面の見せ方」「動き」「音声と文字」「時間」「準備・確認事項」の6項目をそろえ、関係者が同じ撮影内容を想像できるところまで書きます。
絵をきれいに仕上げることより、「何を撮ればよいか」「何がまだ決まっていないか」が伝わることが大切です。ラフ画に短い説明を添え、撮影前に判断が必要な点を残さないようにしましょう。
絵コンテは、完成イメージと撮影の条件をつなぐ資料
「明るい会社の雰囲気にしたい」「商品の良さを伝えたい」。方向性は共有できても、その言葉だけでは、撮影担当者と社内の確認者が違う画面を想像していることがあります。
絵コンテは、映像の流れを絵と説明で具体化する資料です。Adobeの公式解説でも、絵コンテは台本を視覚的に伝える一連の絵であり、単純な描画でも明確なイメージを共有することが重要とされています。Adobeの絵コンテ解説
この記事では、広報・採用担当者と制作会社が撮影前に確認しやすい形として、6項目の整理方法を提案します。これは企業向けの実務上のまとめ方であり、決まった業界共通書式ではありません。撮影の規模や表現に応じて項目を調整してください。
最初に資料の先頭へ、動画の目的、視聴する相手、使用場所、全体の予定尺、画面の向き、版番号を記載します。各カットの細部を詰める前に、「この動画で何を伝えるのか」をそろえておくためです。
項目1:その場面で伝えることを一文にする
各カットに番号を付け、その場面の役割を一文で書きます。役割がないまま見栄えの良いカットを増やすと、必要な情報が薄くなり、確認時にも何を基準に選ぶか迷います。
「会議の様子」だけでなく、「担当者が一人で抱えず、同僚に相談しながら仕事を進めることを伝える」と書けば、誰と誰のやり取りが必要なのか考えやすくなります。
- 視聴者がこの場面を見て、何を理解すればよいか。
- その情報は、映像で示す必要があるか。
- 前後の場面と同じ説明を繰り返していないか。
すべての企業動画にドラマのような展開が必要なわけではありません。商品紹介なら「使う前の状態」「実際の動作」「使った後の確認」など、理解に必要な順序を先に決めます。
項目2:誰を、どこから、どの大きさで映すかを書く
ラフ画の枠の中に、人物、商品、背景の位置関係を示します。絵が苦手なら、丸や四角、棒人間でも構いません。自社で撮った場所の写真に印を付ける方法もあります。
同じ仕事の場面でも、部屋全体を映す「引き」と、手元を大きく映す「寄り」では伝わる内容が違います。場所を説明したいのか、操作を見せたいのかに合わせて、画面に必要な範囲を決めましょう。
曖昧な記入:「作業をいい感じに撮る」
具体的な記入:「机を斜め前から映す。作業者の上半身と箱全体を入れ、箱のふたを閉じる手元が隠れない位置にする」
横型と縦型の両方を使う場合は、それぞれで人物や商品が切れないかも確認します。「後で切り抜けるはず」と決めつけず、必要なら別の枠で構図を用意してください。画面に載せる文字のための空間も、この段階で考えます。
項目3:人物・物・カメラの動きを分けて書く
一枚の絵では、動作の前後まで伝わらないことがあります。「手を伸ばす」「箱を開ける」「中身を見せる」のように、何がどの順番で動くかを短く添えます。
人物の移動を示す矢印と、カメラが動く方向を示す矢印を混同しないようにします。文章でも「人物が右へ移動」「カメラは固定」と区別すると、専門用語に慣れていない確認者にも伝わります。
動作の途中で構図が変わる場合や、見せたい瞬間が別になる場合は、コマを分けましょう。一つの枠へ多くの動作を詰め込むより、撮り始めと撮り終わりが分かる形にすると確認しやすくなります。
必須の動作と、現場で余裕があれば追加したい動作も分けます。予定どおり撮れないときに、何を優先して残すか判断するためです。
項目4:映像に重なる音声と文字を併記する
ナレーション、出演者の発言、現場の音、画面上の文字を別々に記載します。「音声あり」だけでは、誰が何を話し、どの映像に合わせるか判断できません。
例えば、話している本人の顔を映すのか、声はそのままで作業映像へ切り替えるのかを示します。インタビューでは発言を事前に実績のように作らず、「確認したい質問」「使いたい話題」として整理し、実際の回答を見て構成を調整してください。
- 音声欄:ナレーション原稿、質問、収録したい作業音など。
- 文字欄:表示する名称、補足、確認が必要な表現など。
- 確認欄:固有名詞、数値、商品仕様の確認担当者。
映像・音声・文字で別々の情報を同時に詰め込みすぎると、見る側が追いにくくなります。文字を読んでいる間にも重要な操作が進む場面では、画面の切り替え方や説明の順序を見直しましょう。
項目5:カットの時間と全体の長さを仮置きする
各カットへ予定秒数を入れ、合計が動画全体の予定尺に収まるかを確認します。ただし、この段階の秒数は見積もりです。実際に声に出した時間や動作にかかる時間を見て調整します。
「短い文章だから数秒で十分」とせず、説明を自然な速さで読み、動作を一度再現してください。商品を取り出して見せるまでの間や、見終わって理解するための余白も必要です。
合計が長いときは、すべてを早送りする前に、場面の目的へ戻って情報を絞ります。残す情報、別の動画へ分ける情報、Webページで補足する情報を整理すると、尺だけを優先した無理な詰め込みを避けられます。
予定秒数を確定値のように扱わず、「仮」「読み合わせ後に調整」などの状態を付けることも大切です。
項目6:準備物・担当者・未確定事項を明確にする
画面が決まっても、出演者や場所、商品がそろわなければ撮影できません。各カットと準備物をひも付け、誰がいつまでに確認するかを記載します。
- 出演者・場所・商品・衣装・小道具の準備担当。
- 画面に映してよい範囲と、映さない資料・画面・情報。
- 撮影可能な時間、通常業務への影響、機材を置ける場所。
- 未確定事項の確認者と回答期限、難しい場合の代替案。
「確認中」とだけ書くと、そのまま当日を迎えるおそれがあります。「商品名の表記は広報担当が確認」「撮影できなければ手元のみへ変更」のように、判断の担当と次の行動をセットで残しましょう。
そのまま使える、1カット分の記入例
次は、架空の梱包作業紹介を想定した記入例です。実在の企業の工程・品質基準・制作実績を示すものではありません。秒数や役割は、自社の内容に合わせて変更してください。
- カット番号・場面の目的
- C03/箱を閉じる前に中身を確認する動作を見せる。
- 画面の見せ方
- 机の斜め前から、両手と箱全体が入る寄りの構図。
- 動き
- 担当者が中身を確認し、箱のふたを閉じる。カメラは固定。
- 音声と文字
- 箱を閉じる現場音。ナレーションは入れない。表示文字の仮案は「梱包前の確認」。表現と実際の工程は担当者確認待ち。
- 時間
- 仮に8秒。実際の動作を再現して調整する。
- 準備・確認事項
- 撮影用の箱と中身は現場担当が用意。伝票や顧客情報は映さない。撮影日確定後、工程の確認期限を担当者と決める。
この程度の具体性があれば、撮影者は画面を考えられ、現場担当者は実行できるかを確認できます。逆に、絵が完成していても「何を見せたいか」「誰が準備するか」が抜けていれば、確認資料としては不十分です。
確認は「内容→実現性→時間」の順に進める
- 内容の確認:伝える順番や表現に誤りがないか、目的に不要な場面がないかを確認する。
- 実現性の確認:出演者・場所・準備物・映してよい範囲を現場担当者と照合する。
- 時間の確認:原稿を読み、動作を再現して、場面ごとの予定尺を見直す。
- 変更の共有:修正内容をまとめ、版番号を更新し、撮影担当者と社内の最終確認者へ同じ版を渡す。
コメントはカット番号にひも付けます。「後半を変えて」ではなく、「C03の表示文字を修正」「C05は出演者の予定が合わないため代替案を確認」のように書くと、修正箇所を特定できます。
絵コンテは完成映像の順序を共有する資料です。当日の撮影順は、場所や出演者の都合で入れ替わることがあります。現場用の撮影リストにも同じカット番号を付け、撮り忘れを確認できるようにしてください。
注意点:絵コンテを細かくすること自体を目的にしない
すべての場面を精密に描く必要はありません。画面の見せ方が重要な場面、社内で解釈が分かれやすい場面、撮り直しが難しい場面を優先して具体化します。
参考画像やAI生成画像を使う場合は、完成保証の画像と区別し、「構図の参考」「雰囲気の参考」など用途を明記してください。生成画像の背景や人数をそのまま実現できるとは限りません。実際の場所で成立する構図か、撮影担当者と確認します。
また、社内の非公開資料を外部サービスへ入力する前に、社内ルールと利用条件を確認してください。顧客名や画面の情報は、絵コンテの共有範囲にも注意が必要です。
よくある質問
Q1. 絵が苦手でも絵コンテを作れますか?
はい。人物や物の位置が分かるラフ画に、構図と動作の説明を添えるところから始められます。絵で伝わらない部分を短い文章で補い、関係者が同じ画面を想像できるか確認してください。
Q2. 台本と絵コンテは両方必要ですか?
役割が異なります。台本で伝える内容や発言を整理し、絵コンテで画面と時間の流れを確認します。短い企業動画なら、絵・音声・文字を並べた一つの資料にまとめても構いません。
Q3. インタビューも一言ずつ決めるべきですか?
必ずしもそうではありません。質問と伝えたい話題、想定する補足映像を準備し、実際の発言に合わせて調整します。本人が話していない内容を、発言や実績として先に確定しないことが重要です。
Q4. 撮影当日に絵コンテを変えてもよいですか?
必要な変更はあり得ます。ただし、伝える内容、予定尺、費用や撮影範囲への影響を確認し、誰が判断したかを共有します。必須カットを失わないように、代替案と撮影リストも更新してください。
Chain-Moviesが支援できること
Chain-Moviesは、企業PR映像、採用用プロモーション動画、周年記念映像などの制作に関わる目的整理、構成づくり、撮影・編集のご相談に対応します。
「社内で話はまとまったが、どんな画面にすれば伝わるか分からない」「制作会社との確認資料を整えたい」といった段階から、必要な場面と確認事項を整理します。対応範囲や納期、費用は内容を伺ったうえで確認します。
絵コンテや構成の整理は、初回無料相談でご相談ください。
動画の目的、見てもらう相手、使用場所、予定時期、今ある台本や資料の有無をお知らせください。完成した絵コンテがなくても構いません。
出典・確認日
- Adobe「絵コンテ(ストーリーボード)の始め方」(確認日:2026年10月7日)。絵コンテの定義と、明確な画面イメージを共有する役割について参照。
本記事の6項目、社内確認の順序、記入例は企業動画制作に向けた実務提案です。特定の制作成果を保証するものではありません。記事内の写真風画像はすべてAI生成イメージです。


